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K.Itsukashi / Tender Tone

Production Notes
"TENDER TONE" PRODUCTION NOTES #2


Keiji Itsukashi


1. MOMENT OF REFLECTION
 Koyo嬢のヴォーカルをフィーチャーしたこの曲が、本アルバムのオープニングを飾ることとなりました。この曲は、彼女にヴォーカルをとってもらえるということで、Water Clockの1st.アルバムに提供した「ひみつ色の地図」の続編的なものを意識して書きました。和声感覚やサビのコード進行に私のクセが良く出ているんじゃないでしょうか。
 ギターは、フロントハーフトーンのオーバドライブ構成でやってみました。いつもはフロントP.U.かリアP.U.のみで歪ませるんですが、新しく買ったギターのハーフトーンがなかなかいい感じで、これを使わない手はないだろう、と。ジャズフュージョン的アプローチの強いサウンドになっているのではないかと思います。
2. SKY BLUE SKY HIGH
 MYU-RECORDINGSの2作目「KALEIDOSCOPE」に発表したこの曲のテーマは「飛翔」です。雲をつきぬけて大空を舞う感じを表現してみました。当時テクノユニットのSYSTEM7に影響をうけ、テクノトランス系のエレクトリックサウンドとギターの融合を目指した最初の作品でした。また、スウィープするシンセやTR909といった、後に定番化する音を最初に使ったのもこの曲でした。いろんな意味で、自分にとってのマイルストーンであり、とても思い入れのある作品です。
 収録にあたっては、全面的にプロダクション/リミックスし直し、よりテーマに近づいた音に仕上がったのではないかと思います。
3. MACHISMO
 本アルバム内で唯一の変拍子をとるこの曲は、全編に流れるギターの反復フレーズから生まれました。普通より1つ多い感じ、または普通より1つ少ない感じ、具体的に言うなら9/8拍子や7/8拍子あたりが私にとって気持ちのいい変拍子感覚ですね。この曲は「1つ多い」ほうに属するわけですが、割と自然に聴けるんじゃないかと思います。
4. TAW
 この曲は、MYU-RECORDINGSの3作目「RISING EARTH」に最初に発表しました。SYSTEM7の次に影響を受けたマニュエル・ゲッチングへのオマージュ的作品です。この曲で表現したかったこと、それは全篇に渡って聴けるギターシーケンスに集約されます。一定の音形を反復することによって得られるミニマル感、それがテーマです。内面に向かうベクトルの集積、そこから起こる外面に向けての爆発。自己流に解釈したミニマル・トランスサウンドの原点といえます。
 収録にあたっては、全面的にプロダクション/リミックスし直しました。
5. POST MERIDIEM
 タイトルはラテン語で「午後」を意味します。気分的には、午後のお昼寝って感じです :-)。割と頭空っぽな曲で、夜中に聴いていてそのまま寝ちゃえる感じ。で、後半のギターで少し目を覚ましてもらおうか、と :-)。実はこの曲のギターは本アルバム内で気に入ってるパフォーマンスの1つです。リアハーフトーン+オーバードライブ+ステレオピッチシフター+ロングディレイという今までやったことの無い音で弾いてみました。いざ弾いてみるとこれが意外にハマるハマる。ギターパフォーマンスも割と頭空っぽになったのでした。
6. BRAVE NEW WORLD
 アナログリズムサウンド以外は全てギターによるパフォーマンスです。わかる人にはわかりますが、マニュエル・ゲッチングの「Inventions for Electric Guitar」に影響を受けた作品です。ベースラインはオクターバを通したギターでやってみました。
 普通ならMTRによるマルチ録音といったところですが、今回は全てWindows上のシステムでミックスダウンまで行ってみました。ギターは全てA/Dボードを使ってサンプリング、それをCubase VST for Windows上でシーケンス、エフェクト処理を行い、そのままミックスダウンという流れです。これでデジタル出力付きのギターがあれば、完全デジタルも夢ではないのですが :-)。
7. WANDERING LOVERS
 MYU-RECORDINGSオムニバス「EXPRESSION」に発表した同曲ですが、本アルバムでは、Water Clockによるカバー曲の再カバー(?)となっています。曲名で判るかもしれませんが、Jeff Beckの名演が有名な「Cause We've Ended As Lovers」が大好きで、自分にもあんなメロウ(?)な曲が書けるだろうか、と挑戦してみた作品です。
 「EXPRESSION」に発表した当時はインストでしたが、Water Clockさんが彼らのミニアルバム「DREAM」の中でヴォーカル曲としてカヴァーしてくれました。オリジナル曲のもつ世界を広げてくれる歌詞をつけて頂いたので、今回逆輸入(?)カヴァーに挑戦してみました。
8. VEL.
 本アルバム中、さわやか度No.1ではないでしょうか :-)。完全にジャズフュージョン趣味全開という感じです。MYU-RECORDINGSのアルバム「MYU-TATION」の付属シングルに収録されている「VEL.」がベースになっています。その後のアルバム「OR」で一度カヴァーしていますが、本アルバムでは「さわやか度120%アップ」を目指してリプロダクションを行いました。ギターサウンド的には一番ロック色が強く出ていると思います。西海岸系をイメージして、カラッとしたディストーションサウンドをドライブしてみました。
9. PALMER
 深淵に沈むマリンスノー、永遠のスノウフォールのごときイメージをリフレインの中に感じてもらえれば……。
10. SBSH (forge mix)
 MYU-RECORDINGSのテクノマイスター、FLOATING SYNCによる「SKY BLUE SKY HIGH」のREMIXです。彼らしいサウンドがちりばめられた一品に仕上げられています。

98.9
Keiji Itsukashi

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